世界、存在、そして他者――『映画プリキュアオールスターズF』感想

『映画プリキュアオールスターズF』を見た。プリキュアシリーズの20周年を飾る一作として、シリーズを通して主張されてきた要素が再確認されている作品だと感じた。 (以下、ネタバレ有り) 『ひろがるスカイ!プリキュア』の主人公・ソラをはじめ、他のキャ…

「フィクション」あるいは「物語」への対峙?――『シン・仮面ライダー』感想

『シン・仮面ライダー』見ました。今回は、私にしては珍しく公開一週間で見に行きました。個人的には「シン・○○」の中で一番好きかもしれません。 (以下ネタバレあり) 「仮面ライダー」シリーズを考えるにあたっては、50年という歴史を通じて多くの作品が…

「シビアなフィクション」としての孤城―映画『かがみの孤城』感想

ものすごく今更ながら、映画『かがみの孤城』を見た。もう上映を終える映画館も多いようなので、ギリギリ鑑賞できたという感じです。(以下、ネタバレがあるので注意) ・・・・・・ 『かがみの孤城』は、ある事情で学校に通えなくなった少女・こころを始め…

「友達」という曖昧な関係――『私に天使が舞い降りた! プレシャス・フレンズ』感想

『私に天使が舞い降りた! プレシャス・フレンズ』を見ました。 2019年にTVアニメが放送された『私に天使が舞い降りた!』の劇場版である本作は、星野みやこと花たち5人が、花の祖母の家に遊びに行くというストーリーである。 花たちを迎えた花の祖母は、「…

“お子さまランチ”の脱構築ー『映画デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ』感想

『映画デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!』を見た。 近年の「プリキュア」は、それまでシリーズが積み上げてきた主題を反復しつつも、常に新たな要素を付け加えてきたように感じていたが、本作もそのように捉えることが可能だろう。 本…

“異星人”から“ウルトラマン”へ:『シン・ウルトラマン』感想

ようやく『シン・ウルトラマン』を見ました。 『シン・ゴジラ』は、僕がゴジラにあまり詳しくないこともあり、作品内の各種のオマージュ(それがどの程度あったのかは分からないが)を感じ取ることができなかったが、『シン・ウルトラマン』には『ウルトラマ…

「別れの言葉」は言わない――劇場版『きんいろモザイクThank you!!』感想

遅ればせながら、劇場版『きんいろモザイクThank you!!』を観ました。実は「きんモザ」はアニメ1期すら完走していないし、5年前の映画1作目「Pretty Days」も観ていないのに大丈夫だろうか……と思いつつ観に行ったのですが、とても楽しめました。以下、ネタバ…

スマホ・レコード・デジタルネイティブ:『サイダーのように言葉が湧き上がる』を観て

オリジナルアニメ映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』を観ました。以下、ネタバレありの感想です。 『サイダーのように言葉が湧き上がる』は、内気な俳句好きの男子高校生・チェリーと、人気動画配信主の女子高生・スマイルの出会いから始まる、ボーイ…

変わること、そして“私(たち)らしさ” :『ガールズ&パンツァー最終章第3話』についての雑感

『ガールズ&パンツァー最終章 第3話』を見ました。面白いんだろうとは思っていましたが、予想以上でした。TVアニメ放映から10年近くを経て、毎回期待を上回り面白さをアップデートしていく本作には驚きを隠せません。以下、観て感じたことを書き留めます。…

切り離された「エゴイズム」:『映画ヒーリングっどプリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』についての雑感

3月20日に公開された『映画ヒーリングっどプリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』を見ました。結論から言うと、あまり物語として納得できるものではありませんでした。映像的には過去の劇場版と比べても遜色なく、バトルシーンの迫力も充分だっ…

「国内アニメソングベスト100ランキング」への投票

レイレイ・セフォー @Rayray_safoさんによる「国内アニメソングベスト100ランキング」企画に(こっそり)投票しておりました(※現在投票期間は終了しています)。なお、この企画は、ねりま @AmberFeb201さんのブログ記事を見て知ったので、私もこちらで投票…

霜月たかなか『コミックマーケット創世記』(朝日新書)感想【再掲】

この文章は以前別のブログで書いたものです。昨日コミケについての記事を書いていたら思い出し、そこそこよく書けているような気がしたので、こちらに再掲します。なお、『コミックマーケット創世記』はアマゾンで見る限りもう在庫がないようですが、kindle…